コンピュータを利用した文書の書き方

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はじめに

今日では,手書きで文書を作成することよりもコンピュータを利用して文章を作成する機会が多くなりました.その上,インターネットの普及により文書をインターネット上に公開することも増えてきました.またコンピュータによる文書作成は,文書の蓄積や再利用が容易となり,データベースを構築することも可能です.

基本的に手書きでの文書作成とコンピュータを利用した文書作成に大きな差異はありませんが,文書管理やデータベース化を考慮すると,コンピュータを利用した文書作成にいくつか注意を払う必要があります.

そこで,このドキュメントでは,文書管理やデータベース化を容易に行えるような文書作成を解説します.なお,以下では特に断らない限り横書きを基本とします.

文字の入力

全角文字と半角文字

手書きと違い,コンピュータを利用した文書作成では文字を入力します.国内のコンピュータ上の文字には大きく2つの種類があります.一つは全角文字とよばれるものであり,「漢字」や「ひらがな」,「カタカナ」など1:1のマスの中に収まっている文字のことです.通常「ひらがな」モードで入力します.もう一つは半角文字と呼ばれるものであり,「1, 2, 3」(算用数字),「a, b, c, A, B, C」(アルファベット)のように2:1のマスの中に収まっている文字のことです.これらの文字は,通常「直接入力」モードで入力します.一般に和文(日本語の文書)場合は,全角文字を,欧文の場合は半角文字を使用します.

機種依存文字

機種依存文字とは,コンピュータの種類や環境に依存し,他のコンピュータで文書を表示させると,文字化けなどを引き起こすおそれのある文字のことです.機種依存文字には,特定の OS にしか準備されていない文字や,ソフトウェアに梱包されている特殊なフォントなどです.このような特殊文字は,他のコンピュータで文書を見ることができないので,文書の共有やデータベース化には向きません.コンピュータの種類や環境に依存せず,文書が正しく表示できる文字を使用することを心がけましょう.

数字・英単語

数字は算用数字を使用し,半角文字を入力します.ただし,環境によって読みづらい場合もあるので,筆者は例外として「8.5%」を「8・5%」と表記することもあります.

ところで,筆者は「1文字」のようにそれで一つの意味をなすものや,数字が一桁で,数字自体に格別な意味がない場合は「1個」のように全角文字を使用しています.

英単語も半角文字で入力します.英単語,数字いずれも両側に句読点以外の全角文字がある場合,「西暦 1976 年」,「英語で trade とは」のように,両側に半角スペースを挿入します.LaTeX のような文書整形ソフトや CSS の未サポートの機能(text-autospace)では,このような整形を自動で行います.

漢字の抑制

コンピュータの文字入力システムはとても便利で「ばら」と入力すると「薔薇」と漢字に変換してくれます.しかし,手書きの文書作成でも同様だが,漢字の多用は避けるべきです.特に,コンピュータではすぐに漢字に変換するので,漢字が多い文書となってしまいがちなので,なるべく漢字の多用を避けるようにしましょう.

言葉の揺らぎ

手書きの文書作成と同様,用語の使い方は統一しましょう.特に,文書管理や,データベース化する場合,言葉に揺らぎがあると検索結果が反映されません.また,「trade」(半角文字)と「trade」(全角文字)のように,半角文字と全角文字の表記の差異にも注意しましょう.

区切り文字

セミコロン

「;」(セミコロン)は,横書きの文章において,句点やカンマよりも区切りが強く,読点やピリオドよりも区切りが弱いときに用います.日本語の場合は全角文字を,欧文の場合は半角文字を用います.

コロン

「:」(コロン)は,横書きの文章において,文に続いて,補足説明を行うときに用いる区切り文字であり,日本語の場合は全角文字を,欧文の場合は半角文字を用います.

なかぐろ

「・」(なかぐろ,なかてん)は,日本語の文章において,単語と単語が並列的な連結を表すときに用いる記号であり,全角文字を用いてよい.欧文の場合は「and, or」が用いられるので,「・」という記号は存在しません.

日本語において,「キャピタル・ゲイン (capital gain)」のように欧文の単語と単語の区切りに用いることがあります.

ダッシュ

「---」(ダッシュ)は,コロンの代わりに用いられることが多いようです.日本語,欧文ともに「-」半角ハイフンを3つ入力します.日本語の場合は「―」(全角ダッシュ)が用意されています.

リーダー

「…」(リーダー)は,日本語の文章において,「以下省略」を表す記号であり,全角文字を用いてもよいです..欧文の場合は,「.」(半角ピリオド)を3つ入力します.

カッコ

カギカッコ

「「 」」(カギカッコ)は,日本語文章においての会話の文や他の文章の引用に用います.

二重カギカッコ

「『 』」(二重カギカッコ)は,日本語の文章において署名を引用するときに用います.または,カギカッコの中にカギカッコを用いたい場合,二重カギカッコで代用します.

角カッコ

「[ ]」(角カッコ,大カッコ,ブラケット),「{ }」(波カッコ,中カッコ,ブレース),「( )」(丸カッコ,小カッコ,パレーン),は,日本語,欧文ともに存在するカッコです.日本語の場合は,全角文字を,欧文の場合は半角文字+半角スペースを用います.

山カッコ

「< >」(山カッコ,または,ギュメ,アングル・ブラケット)は,XHTML や LaTeX では,タグやコマンドなどの意味をもつことがあるので,使用しないことが望ましいです.

文書の論理的な構成

卒業論文やレポートなどをはじめ,情報資源としての文書は論理的な構成を組み立てていかなければなりません.文書には,文章,見出し,表,図,箇条書きが含まれます.

文章と文書の違いは簡単に述べると次の通りです.文章の内容を読み手に正確に伝わるように効果的に,視覚的に構築したものが文書です.文章そのものには,「1文字の大きさ」や「1ページに何文字収める」といった定義はないが,文書では,このような視覚的効果を定義します.

文章の最小単位は文です.文末には「。」(読点とうてん)やこのドキュメントのように「.」(全角ピリオド)をつけます.和文(日本語の文書)の場合,読点やピリオドは全角文字を使用します.一つの文書において読点とピリオドを混同してはいけません.

文の途中では,読み手にとって読みやすいように,「、」(句点)やこのドキュメントのように「,」(全角カンマ)をつけます.これも一つの文書において,句点とカンマを混同してはいけません.

通常一つの文書では,「、」と「。」,「,」と「.」が対となって用いられるが,「,」と「。」という組み合わせもたびたび見受けられます.

欧文では,文末に「. 」(半角ピリオド + 半角スペース)を用います.決して「.」(全角ピリオド)を用いてはいけません.また,一つの文の中で,「..., which ...」のように接続詞などが含まれる場合は,「, 」(半角カンマ + 半角スペース)が用いられます.

ワープロソフトのようなソフトにおいて,行末で改行を行う人がいますが,ほとんどのソフトは自動で改行を行うので,書き手が行末で改行する必要はありません.逆に,文書の修正時に改行の位置がずれ,奇妙な位置で改行されることもあるので,行末では改行しません

段落

段落とは,読み手に対して意味が通りように文をわかりやすくまとめたものです.段落の中の文は共通の主題をもたなければならない.和文の場合,段落のはじめは1文字分字の空白(全角空白)をあけ,段落末では改行します.

LaTeX にような文書整形ソフトでは,段落を判別し,段落のはじめに自動で空白をあけるので,文章の入力時に空白をあける必要がない場合もあります.また,HTML 文書においても,このドキュメントのように,CSS の設定によって段落のはじめに自動で空白をあけることも可能なので,文書入力時に段落のはじめに全角空白を入力する必要はありません.

脚注・傍注

脚注・傍注とは,参考文献などの情報を,欄外や巻末に示すことをいいます.脚注・傍注は,このように,中を示したい箇所の右上に「脚注1)」のような通し番号を振り,欄外や巻末に,具体的な内容を書きます.

見出し

文章の論理的構成を考える上で,見出しはとても重要な役割を果たします.見出しは,見出し以下で述べられる文章を一言で表したものであり,読み手は,見出し以下の文章を見出しから推測し読むからです.

見出しの最大単位は「部」です.とても大規模な文書において使用されます.2番目に大きい単位は「章」です.章も,博士論文や,単行本のように比較的大規模な文書で使用されます.3番目に大きい単位が「節」です.一般的な報告書などは「節」が最大の単位となります.以下,「項」または(小節),「少々節」と続きます.

箇条書き

箇条書きとは,視覚的効果によって文章の構造を読者に把握させるものです.箇条書きは単なる文字列の羅列であり,文とは異なり箇条書きのみでは何の意味ももちません.それゆえ,文によって箇条書きの説明を補わなければなりません.箇条書きには,「番号つき箇条書き」,「番号なし箇条書き」の2種類があります.文字列に順序の関係がある場合は,「番号つき箇条書き」を,文字列が並列の関係にある場合は「番号なしの箇条書き」を使用します.

番号つき箇条書きの例

地球の気温が上昇する流れは次の通りです.

  1. 二酸化炭素が増える
  2. 熱が地球に滞留する
  3. 気温が上昇する
番号なしの箇条書きの例

二酸化炭素の主な排出源として次のものが考えられる.

図・表

主張や説明を読み手により理解してもらうために,図や表を用いることがあります.図や表を用いる場合は,図表番号や説明文(キャプション)を付けます.一般に,キャプションは,図の場合は下に,表の場合は上につけます.

図の例
2次元の効用曲線
図1: 2次元の効用曲線
表の例
表1: 各国の貨幣の尺度
記号日本アメリカユーロエリア
M1 現金通貨,預金通貨 流通現金,トラベラーズチェック,要求支払い預金,そのほかの当座預金 流通現金,オーバーナイト預金
M2 準通貨 貯蓄預金,小口定期預金 満期2年以内の預金,3ヶ月以内の解約告知期間付預金
M3 郵便貯金など 機関投資家保有MMMF,大口定期預金,レポ,ユーロドル レポ,MMF・短期市場証券,償還期限2年以内の債券

引用

短い引用

短い引用の場合,日本語の場合,「」カギカッコを用います.また,欧文の場合は「'」(クオテーション)を用います.

短い引用の例

武藤博己著『入札改革』(2003) によると,入札は価格という単一の基準のみで行われるではなく,「入札制度の中に,社会的な価値を尊重するような評価基準を導入することが必要」(p.116) と述べています.

長い引用

長い引用の場合は,日本語,欧文いずれも,左側に1字か2字程度のインデントをつけます.

長い引用の例

行政改革によって民間委託が進んでおり,学校給食も例外ではなくなった.価格のみの入札による学校給食の委託先の決定には,いくつかの問題をはらんでいる.

さまざまな要素を考え合わせると,学校給食は純粋に低コストかを推し進めてよい分野とはいえないであろう.コストの削減は必要ですが,まず教育としての給食という側面を充実させることや給食の安全性,栄養バランスといった価値の確保を優先し,その後にコストの問題を考える必要がある.(武藤博己著『入札改革』(2003) pp.107--108)

出典の方法

どの文献から引用したかを示すことは,文章を作成した人の義務です.出典の方法は上の例のように,著者名,表題,発行年,ページ数を明記します.ページ数は単一ページの場合は「p.116」や「116ページ」と,複数ページの場合は,「pp.106-107」や「106-10ページ」と記述します.文章の最後に,文献目録を掲載する場合は,次のような表記方法もあります.

文献目録の作成

文献目録は,論文やレポートを作成する際に引用した文章の文献や参考となった文献のリストであり,著者名,本の表題,出版社名,発行年などを巻末や章末にまとめて示す.表題は二重カギカッコで囲むなどの約束事があるがここでの説明は割愛します.番号方式の場合,次のようにリスト番号を [1] のようにつけます.

社会科学系の論文で一般的なハーヴァード方式は,リストに番号をつけず,リストの2行目以降はインデントをつけます.

文献目録のスタイル

文献目録のスタイルは各論文誌の投稿規定によって異なるが,1つの例として以下に文献目録のスタイルを掲げておきます.

欧文論文誌

著者名 (発行年), ``論文タイトル,'' 論文誌名. 巻(号), ページ範囲.

欧文単行本

著者名 (発行年), 本のタイトル. 住所: 出版社.

欧文単行本中の論文

著者名 (発行年), ``論文タイトル,'' in 本のタイトル. edited by 編集者名. 住所: 出版社, ページ範囲.

和文単行本

著者名 (発行年), 『本のタイトル』出版社.
伊藤秀史 (2003), 『契約の経済理論』有斐閣.

和文単行本中の論文

著者名 (発行年),「論文タイトル」編集者名 (編) 『本のタイトル』出版社, ページ範囲.

邦訳

英語文献 (翻訳者 (訳)『翻訳タイトル』出版社, 発行年).

このスタイルは,次の文献のスタイルを参考としました.